なぜカントリーマアムは小さくなったのか |シュリンクフレーションの原因はデフレだった|

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はじめに

前回の記事では、なぜカントリーマアムが小さくなったのかについて、販売価格を変えずに内容量を減らす、シュリンクフレーションに触れながら解説しました。

カントリーマアムやその他のお菓子に限らず、日本では様々なものが昔より値上がりしたと感じませんか?

身近なところで言うと、近所のラーメン屋さんなども値上げをしていることが多い感覚です。

こういった値上げの背景としてよく挙げられるのが、消費税の増税です。

カントリーマアムは、原材料費の高騰による実質値上げに加えて、消費税増税の影響で更に高価なものになったと言えます。

では、それを消費する私たちのお財布状態はどうなったのでしょうか?

この記事では、消費税増税でカントリーマアムが実質どれだけ日本人の給与推移や、デフレについても調査し、カントリーマアムが小さくなった理由を深掘りしていきます。

消費税率増加とカントリーマアム

まずは、消費税の増税について解説します。

消費税は、1989年(平成元年)4月1日に初めて日本に導入されました。

その後、1997年に5%、2014年に8%、2019年10月には10%(軽減税率適用品目は8%)に引き上げられています。

消費税について、国税庁のサイトでは以下のように説明されています。

 消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。
 消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取り(輸入取引)です(注)。
 この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。

ここにもあるように、消費税は最終的に消費者が負担することになります。

カントリーマアムファミリーパックの価格自体は、2005年から現在まで323円(税別)と変わっていないため、消費税率の違いが、消費者の負担の差分になります。

  • 2005年 323円 + 16円(5%)
  • 2014年 323円 + 25円(8%)
  • 2021年 323円 + 32円(10%)

しかし、前回の記事でも述べたように、シュリンクフレーションによりカントリーマアム一つあたりの値段は65%に上がっています。

これを、消費税込みの金額で計算すると、73%の実質値上げとなります。

ただでさえ大きく値上げしていたカントリーマアムに、消費税が追い討ちをかけたような形です。

日本の平均賃金の推移

それでは、ただでさえ大きな値上げをしたカントリーマアムに対して、日本政府は追い討ちをかけただけなのでしょうか。

仮に、消費者である私たち日本国民が、より裕福になっているのであれば、お金を出せば以前と同量のカントリーマアムを購入できることになりますから、消費者の負担は大きくなっていないことになります。

日本人の平均給与の推移を見てみましょう。

引用) 厚生労働省 令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-

このグラフからもわかるように、日本の平均給与は2015年から上昇傾向に転じているものの、カントリーマアムのシュリンクフレーションが起きた2007年と比較すると、以前低いままとなっております。

ここからわかることは、カントリーマアムは実質的に値上げされ、かつ日本人の所得は減少し、カントリーマアムを食べるのはより困難になった、ということになります。

日本経済が抱えるデフレ問題

日本の平均所得減少の理由として挙げられるのが、デフレ(デフレーション:deflation)です。

経済用語におけるデフレは、物価が下がっていく現象のことを言います。また、モノに対して貨幣の価値が上がっていくことも意味します。

デフレが起きると、一般的に企業の業績は悪化します。

製品が売れないことで販売価格を下げているので、単に販売価格を下げるだけでは業績は上向かないことは想像しやすいです。

企業の業績が悪化すると、従業員に支払われる給料も減少します。

こうして、デフレが発生すると企業の業績が悪化する理由です。

そして、給料が減った人々は、より一層消費意欲が低下し、製品が売れなくなった企業が更に販売価格を下げる、、、これがデフレスパイラルです。

デフレスパイラル

日本経済は、長年このデフレ下にあります。

そしてこのデフレが、まさにカントリーマアムが小さくなった理由なのです。

デフレがカントリーマアムを小さくした

それでは、なぜお菓子メーカーは、原材料価格が高騰した際に販売価格を上げなかったのでしょうか。

それは、デフレにより消費が伸び悩んでおり、価格を上げてしまうと製品が売れなくなってしまうからです。

ただでさえ価格を下げないとモノが売れないような社会で値上げを行うというのは、消費者には受け入れられない可能性が高いのです。

SNSでは、「ステルス値上げをするくらいなら、正直に値上げをした方がいい!」という声も見かけます。

しかし、本当にそうでしょうか?

仮に、カントリーマアムがステルス値上げをせずに、容量をそのまま、値段を上げていたとすると、

現在の、カントリーマアムファミリーパックの価格は、¥586(税込)になります。

しかも、買い手の私たちのお給料は上がっていないか、下がっているかのどちらかです。

そうなると、「カントリーマアム高すぎて買えない、、、。」ということになりかねません。

前回の記事で紹介したように、カントリーマアムは原材料価格の高騰により、1枚あたりの値段を上げざるを得なくなってしまいました。

日本の経済状況を考慮し、お菓子メーカーは販売価格は上げずに内容量を減らす、シュリンクフレーションを行うしか無くなってしまったと考えられます。

まとめ

  • 消費税増税により、カントリーマアムは更なる値上げとなった
  • カントリーマアムが実質値上がりする中、日本人の平均所得は減少し、カントリーマアムはより高価なものとなっていた
  • 平均所得の減少の原因は、デフレ
  • デフレ化で値上げを行うことができないことが、シュリンクフレーションにつながった

この記事で、シュリンクフレーションの原因がデフレだということが分かりました。

しかし、ここでまた更なる疑問が生まれてしまいました。

日本政府は何故、企業が製品価格を下げるデフレ化で、あえて消費税増税を続けたのでしょうか?

次の記事では、この疑問を解決していきたいと思います。

コメント

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